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かがくろん
科学論
戸坂 潤
「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页
この操作を用いないでは社会科学的方法は殆んど全くその材料を獲得することが出来ない。問題は自然科学に於て夫がどれだけの役割を有つかである。併し、自然科学に於ても統計的なるものは至る処に見出される。例えばメンデルによる雑種植物の変種に関する統計的操作であるとか、マクスウェルやボルツマンの古典的統計操作であるとか、ハイゼンベルクの不確定性原理によって、核外自由エレクトロンが各瞬間に於て空間上に占める定位を厳密に観察することが原則上不可能であることから、一定時一定場所に於けるエレクトロンの存在がプロバビリティーに他ならないということとか、それからエントロピーの増加率が統計的な蓋然性しか持たないとか、という現象が夫である。
だが問題は、こうした統計的操作や、又こうした確率現象に対して必要な統計的取り扱いが、どれだけ自然科学的研究様式の内容として重大な役割を演じているか、ということだ。大量観察という統計的操作の第一規定も、右に挙げた例のような場合には、社会科学に於ける本来の大量観察とはその性質を異にしている(前を見よ)。それに、プロバビリティーが現われるのは、決して統計的操作の結果なのではなくて、却って単にプロバビリティー現象であるが故に統計的操作を用いる他はないというのに他ならない。