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かがくろん
科学論
戸坂 潤
「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页
正にその逆である。丁度、自然弁証法とか史的唯物論とかいう抽象物を具体化すことが、この意味に於ては無意味であって、実は自然科学や社会科学の諸認識内容を、自然弁証法や史的唯物論に迄体系的に発展させ、ただその意味でだけ之を具体化す事によって、却って、初めて自然弁証法や史的唯物論を抽出し得るように*。夫々の科学的認識を体系化し発展させることによって、そこから抽象し出されるという意味に於て、自然弁証法と史的唯物論とは、夫々自然科学的世界と社会科学的世界との、特徴(そういう抽象された代表部分)を云い表わす、というのである。
* 自然弁証法の「具体化」が自然弁証法という与えられたテーマ・話題を具体的にするということであれば、それはそれでいいのであるが。
では自然弁証法と史的唯物論との連関はどうなっているか。――云うまでもなくそれは自然と人間史的社会とを、自然史が貫いている、という実在の連関に帰結するのである。進化論(博物学的自然史)が自然弁証法の最も現象的に見易いそして又最も含蓄のある場合であるのだが、史的唯物論はマルクスの有名な説明によれば、人間社会に関するそうした自然史(博物学)とも云うことが出来る。