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かがくろん
科学論
戸坂 潤
「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页
(岩波講座『教育』の中)〔本全集第三巻、『現代唯物論講話』中の「社会科学論」〕の一部分に基いて之を訂正したものである。――史的唯物論の典拠は枚挙に遑ない。そして之に触れた教程も極めて多い。史的唯物論なる社会科学的世界は、今日すでに或る意味に於ける体系をなしつつ発展しているからである。
便宜上、史的唯物論=唯物史観を、まず定説(体系)と方法とに分けて述べよう。第一に史的唯物論の定説に就いて。――
史的唯物論の問題は、人間の存在という事実と共に始まる。人間はその時代々々の与えられた一定の物質的生活条件の下に、行為し生活している。処でこの人間生活の過程は、一口で言えば食うことと産むこととをその物質的根柢としている。言い直せば、人間の生活過程は生活資料の生産と新しい個体の生産とを、要するにそういう物質的生産を、その根柢としているのである。だが人間生活を他の動物生活から区別するものは、人間が個体を生産する能力を有っているという点にあるのではなくて、人間が生活資料を優れて生産し得るという処に、即ち労働によって之を生産するという処に、而も労働手段乃至要具の生産(労働による)を通じて之を生産するという処に、横たわる*。