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かがくろん

科学論

戸坂 潤

「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页

青空文庫

そして生産が社会に於ける生産であるという処から、それが必然的に政治という形態を取らねばならないのである。法律とはこういう政治制度のための観念的な拠り処に他ならない。――政治学はここに成立する。

法律制度乃至政治制度は、社会の物質的地盤・下部構造である経済関係としての物質的生産諸関係の必然的な結論である。併し、法律制度乃至政治制度は、であるからと言って決して経済関係それ自身ではない。それは経済関係という肉体によって規定されて、初めて一定の形態を取ることが出来る処の、被覆に相当するものである。それは社会の下部構造によって制約されるという意味で、上部構造と呼ばれて好い。

法律や政治を社会の上部構造として、社会の下部構造から区別する処のものは、下部構造に相応する人間的実践――生産――乃至それが物的体系にまで定着されたもの――生産関係――が、特に優れて意識化されるという条件である。無論人間の実践は、それがどんな生産であろうが、どんな労働であろうが、意識なしには不可能だが、已にそれ自身意識的である処のこの実践が、更に、より高度の複雑した他種類の実践となる迄に、意識化すと、夫が政治的実践となり立法・司法の実践となるのである。