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くうちゅうふんぼ

空中墳墓

海野 十三

「新青年」博文館、1928(昭和3)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,986 字 · 28 页

青空文庫

其の怪振動は一秒間三十万回の超可聴周波です。耳にもきこえない振動なのです。この怪振動こそは今から二十二三年前に、ジョン・ホプキンス大学のウッド博士が発明した殺人音波の変形応用なのです。ここに相良氏のプロペラ設計書類があります。ウッド博士の公式が巧みにつかわれています。これは昨夜、川股さんが私共の事務所にお泊りのとき、例の金庫から項戴したのです。この殺人音波に気がついたのはずっとのちのことですが。最初に疑いを生じたのは、風間さんと私とが、箱根の上を飛ぶとき、五千メートルの高度にのぼったのです。そのとき実にいやな気持におそわれました。もっと高度の高いところで飛ぼうものなら、一たまりもなかったのでしょう。このことは風間君に、はっきり判っていたのかどうか存じません。しかし風間君がある覚悟を持っていたことは本当です。言わずとしれたことですが、相良氏は風間夫人であるすま子さんに不倫な恋心を持っていたのです。それを風間君は知っていたのです。だが其の頃、真弓さんがお母様の胎内にポッチリ宿っていたことについては風間君は知らなかったのです。先にお渡ししたのは関係者四人の血型検査報告で、事実は明瞭に出ています。