轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あきや
空家
宮崎 湖処子
「国民之友」1889(明治24)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,554 字 · 30 页
尼院ありと伝うる彦山に登り、二日の後に帰り来たり、夫ありて夫に死なれ、子ありて子に後れ、世間より捨てられたる者ならでは尼となられぬこと、されど道なき絶処虎狼の住むところには、昔信心堅固の尼の住みたる洞穴あり、このごろもまた一人の尼住みおり、ここは人間の至るところならねば、世の法律を逃るるとも後追わるべき憂いなき由を語り聞かせぬ、阿園はいかなる絶処を越えても尼になるべく思いたり、されどその洞穴の辺まで佐太郎に送られたしとも思いしなり、
かくて一七日となり法事を営まねばならざりき、さらでも野菜なき夏の半ば、夫の留守中何事も懈りがちなりければ、裏の圃に大葱の三四茎日に蒸されて萎えたるほか、饗応すべきものとては二葉ばかりの菜蔬もなかりき、法事をせずば仏にも近所にも済まず、営まんには物なければ、彼はいと痛う哀れになり、もはや世に棄てられたるように感ぜり、折々窓より外面を眺めても、村人はただ己がじしその野に労するのみにて、人には一把の菜の慈悲もなかりき、今はジリジリ移りゆく日影を見るに堪えかね、仏壇の前に伏して泣きたり、哀れの寡婦よ、いかばかり悲しかりけん、さりながら慈悲深き弥陀尊はそのままには置き給わず、日影の東に回るや否、情ある