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くうそうにちろく
空想日録
寺田 寅彦
「改造」1933(昭和8)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,488 字 · 21 页
森の茂みをくぐり飛ぶ小鳥が決して木の葉一枚にも触れない。あの敏捷さがわれわれの驚嘆の的になるが、彼はまさに前記の侏儒国の住民であるのかもしれない。
象が何百年生きても彼らの「秒」が長いのであったら、必ずしも長寿とは言われないかもしれない。
「秒」の長さは必ずしも身長だけでは計られないであろう。うさぎと亀とでは身長は亀のほうが小さくても「秒」の長さは亀のほうが長いであろう。すると、どちらが長寿だか、これもわからない。さて、人間がいろいろの器械を作って、それを身体の代用物とする傾向がだんだんに増して来る。そうしてそれらの器械のリズムがだんだん早くなって来ると、われわれの「秒」は次第に短くなって行くかもしれない。それで、もしも現在の秒で測った人間の寿命が不変でいてくれればわれわれは次第に長生きになる傾向をもっているわけである。しかし人間の寿命がモーターの回転数で計られるようになることが幸か不幸かはそれはまた別問題であろう。
四 空中殺人法
「神伝流游書」という水泳の伝書を読んでいたら、櫓業岩飛中返などに関する条項の中に「兼ねて飛びに自在を得る時は水ぎわまでの間にて充分敵を仕留めらるるものなり」