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くうしゅうかのにほん
空襲下の日本
海野 十三
「日ノ出 付録 國難來る! 日本はどうなるか」1933(昭和8)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,527 字 · 30 页
戦慄の日は近づく
戦慄の日は近づく
――昭和×年三月、帝都郊外の若きサラリーマンの家庭――
「まあ、今日はお帰りが遅かったのネ」
「うんフラフラになる程疲労れちまったよ」
「やはり会社の御用でしたの」
「そうなんだ。会社は東京の電灯を点けたり、電車を動かしたりしているだろう。だから若し東京が空襲されたときの用心に、軍部の方々と寄り合って、いろいろと打合わせをしたんだよ」
「空襲ですって! 空襲って、敵の飛行機のやってくることですか」
「うん」
「まあ、そんなことを、今からもう考えて置くんですの。気が早いわねエ」
「気が早かないよ。すこし遅い位いなんだ。尤も相談は前々からやってある。『東京非常変災要務規定』などいうものが、もう三年も前に、東京警備司令部、東京憲兵隊、東京市役所、東京府庁、警視庁の協議できまっているんだからね。今やっているのは、その後いろいろ変更になった事についてなんだよ」
「あら、そうだったの。それは東京だけに、空襲の相談が出来ているのですか。大阪だの九州だのはどうなんです」
「そりゃ、どこもかしこも、日本中はみな出来ているよ。防空演習なんか、むしろ地方が盛んで、東京なんか、まだ一度もやらないぐらいなんだ。