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くうしゅうそうそうきょく
空襲葬送曲
海野 十三
「朝日」1932(昭和7)年5月~9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 页
「そうか」と将軍は顔をあげて云った。「儂の考えでは、今夜が最も危険じゃ。もう一度、宇都宮以北の防空監視哨へ、警告を発して置け」
「はッ、承知いたしました」
そこへ、バタバタと、伝令が、電文を握ってきた。
「報告です」
「よオし。こっちへ貸せ」有馬参謀長は、多忙であった。「おお、これは……」
参謀長は、キッと唇を噛んだ。
「閣下。海軍からの報告です。北緯四十一度東経百四十度を航行中なる第五潜水艦隊の報告によれば、本日午後四時十五分、東北東に向って三十五キロの距離に於て、米国空軍に属する飛行船隊の航空せるを発見せり。該飛行船隊は、アクロン、ロスアンゼルス、パタビウス、サンタバルバラの順序を以て、高度七千メートル、時速百八十キロ、略西方に向けて航空中なり。尚、該隊には、先導偵察機五機、戦闘機十四機を、随行せしめつつあり。終り」
これを聞いた将校たちは、互に顔を見合わせたのだった。いよいよ、恐ろしい怪物が、襲来してくるのだった。飛行船といえば、ツェッペリン伯号を、帝都上空に仰いだことのある日本国民だった。ロスアンゼルス号はツェッペリン伯号の姉妹船、アクロン号、サンタバルバラ号は、それよりも二倍近い、巨大なもの、パタビウス号に至っては、空の帝王と呼ばれる途方もなく尨大な全鋼鉄の怪物で、爆弾だけでも、五十噸近く、積みこんで