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くうしゅうそうそうきょく

空襲葬送曲

海野 十三

「朝日」1932(昭和7)年5月~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 页

青空文庫

「大尉どの、いよいよ、穴の奥まで、近づいたらしいですよ」

「そういえば、だんだんと天井が、低くなってきたね」

「入口で、三人、やっつけたばかりで、ここまで来ても、更に敵影を認めず、ですな」

「ちと、おかしいね。どこか、逃げ道が、慥えてあるのだろうか」

「いままでのところには、探さない別坑は、一つもなかったのですが」

「おや、地盤が、急に変ったじゃないか。これは、燧石みたいに硬い岩だ」

草津大尉の声のする方に、道後少尉が、懐中電灯を照しつけてみると、なるほど、今までの赭茶けた泥土層は無くなって、濃い水色をした、硬そうな岩層が、冷え冷えと、前途を遮っていた。

「こんなところに、鑿岩機が、抛り出してあります」

「こっちの方にも、一台、転がっているぞ」

「地盤が、固くなったので、諦めて、引上げたのでしょうか」

「それにしては、おかしい。その辺の壁を、叩いてみよう」

泥が、バラバラと、崩れ落ちた。

「おお、これは※(感嘆符疑問符、1-8-78)」壁体に、ポカリと、孔が開いた。

懐中電灯を、さし入れて見ると、その孔は上り気味になっている。

草津大尉は、道後少尉を促して、尚も恐れず、前進して行った。