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くうしゅうそうそうきょく

空襲葬送曲

海野 十三

「朝日」1932(昭和7)年5月~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 页

青空文庫

予期した霞ヶ浦の海軍航空隊に属する空軍は、どうしたものか、どの方面からも、襲撃して来なかった。

「船長、ごらんなさい」モンストン少佐が云った。「下に、電車らしいものが、走っていますよ」

「なるほど、スパークも見えるし、ヘッド・ライトも、ぼんやり見えるようだね」

「向うの方には、ボッと、ギンザらしい灯が見えますよ」

「そんなことは無いだろう」

「でも、左手に見えるのがシナガワ湾です。ずっと、海と陸との境界線が見えるでしょう」

「すこし、早く来すぎたような気がする」大佐は、一寸、首をかしげた。

「いよいよ、大東京の位置が、はっきり判りました。こっちに、ムラヤマ貯水池が、明るく光っています」

「うん。地形は、ちゃんと合っている。爆撃して呉れと、いわぬ許りだ。では、モンストン君、兼ねての作戦どおり、思うが儘に、爆撃出来るね」

「そうです、大佐どの。第一に、マルノウチ一帯へ、一噸爆弾を三個、半噸爆弾を十二個、叩きつけます。それから、シナガワ附近シンジュク附近とを中爆弾で爆撃し、頃合いを計って、ホンジョ、フカガワ附近の工業地帯を爆破し、尚、余裕があれば、ウエノ停車場を、やっつけて仕舞います」