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くうしゅうそうそうきょく
空襲葬送曲
海野 十三
「朝日」1932(昭和7)年5月~9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 页
「ジャップの飛行機を、寄せつけるやつがあるものか。危くて仕様がないじゃないか」大佐は、チョッと舌打をした。
その言葉の終らないうちに、又、前よりも一層、激しい動揺が起って、大佐は、スルリと滑りそうになったのを、やっとのことで、窓枠にすがりついて、事なきを得た。
日の丸のマークのついた日本の飛行機が、火焔に包まれて、又、墜落して行った。そのあとから、別な飛行機が、又一台、吠えるような、異様な響をあげて……。
「おい、モンストン」大佐は、たまりかねて爆撃隊長の肩をつかんだ。「われ等の、戦闘機隊は、何をしているのだ」
「阻塞気球の中へ、引っぱり込まれたらしいです。半数は、気球から垂れている綱に、機体を絡めつけられ、進退の自由を失っているらしいです」
「なに、阻塞気球※(感嘆符疑問符、1-8-78)」
「ほら、御覧なさい。あすこに、ヒラヒラしているのがあります」
「おお、――」と大佐は、窓のところに、駈けよった。「あれは、大グランド大尉の、赤鬼号じゃないか」
「や、やッ」モンストン少佐も、探照灯に照し出された、見覚えのある、真紅な胴体をもった飛行機を見付けて、のけぞる位に駭いた。