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くうしゅうけいほう
空襲警報
海野 十三
「少年倶楽部」別冊付録、大日本雄弁会講談社、1936(昭和11)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,838 字 · 92 页
「義兄さん――」
と、旗男少年は列の中からとびだして来た。
「ぐずぐずしていないで、早く新潟放送局に電話をかけて放送してもらえばいいじゃありませんか。いま午後七時半の講演の時間をやっている頃だから、ラジオを持っている家には、井戸が使えないことをすぐ知らせられますよ」
「えらいッ……」
中尉と二人の警官とは、声を合わせて、同じことを叫んだ。そして三人は旗男の方を一せいにふりかえった。とたんに三人はアッといって目をむいた。
「うわーッ、旗男君。その恰好はなんだ。早く家へ入って猿股をはいてこんか」
と、国彦中尉が大喝した。それをキッカケに、井戸端からドッと爆笑がまきおこって、その場の暗い気持をふきとばしてしまった。――旗男は、すっぱだかなのをすっかり忘れていた。
智者は惑わず
夜に入ると、直江津のコレラ菌さわぎは、ますますはげしくなっていった。
新潟放送局では、講演放送を途中で切り、警察署からの臨時官庁ニュースとして、「コレラ菌の入った井戸水を注意して下さい」を放送しだしたから、ラジオを聞いていたものは驚いた。
「……当分生水はお飲みにならぬようにねがいます。