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くうしゅうけいほう

空襲警報

海野 十三

「少年倶楽部」別冊付録、大日本雄弁会講談社、1936(昭和11)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,838 字 · 92 页

青空文庫

……

深夜の空襲

ピカリ――

と、暗黒の空に、真青な太い柱がとびあがった。

照空灯だ!

太い光の柱は、生物のようにぐうっと動きながら、夜の空をかきまわした。それにぶっちがいに、また地上から別の照空灯の光がサーッと閃いた。どっちも、同じような場所を探している。――とたんに、いいあわしたように、光の柱はパーッと消えた。あたりは再び闇となった。しかし照空灯の強い光の帯だけが、いつまでもアリアリと眼の中に残っていた。どっちもかなり遠方で、方角からいうと、直江津よりもだいぶん東の方だ。海岸に陣地をしいている部隊が敵機を探しているのらしい。

川村中尉は、聴音機の上にとびのって、聴音手のそばにピッタリ身体をよせていた。さっきまで首をふっていた大きな聴音ラッパは、今は天の一角をさしてすこしも動かない。――ついに敵機の爆音をとらえたらしい。

ヒラリと中尉は地上にとび下りる。

ピリピリピリピリ。

注意せよ?――というしらせだ。

「……各個に対空射撃用意ッ!」

だが、高射砲はまだ沈黙して、ウンともスンともいわない。

そのときゴウゴウゴウと、天の一角から、底ぢからのある聞きなれない怪音がひびいてきた。