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くうしゅうけいほう
空襲警報
海野 十三
「少年倶楽部」別冊付録、大日本雄弁会講談社、1936(昭和11)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,838 字 · 92 页
――すわッ! 敵機近づく!
その刹那だった。
サーッと、白竜のように、天に沖した光の大柱! それが、やや北寄りの空に三、四条、サーッと交叉した。
とたんに、空中に白墨でかいたようにまっ白に塗られた怪影があらわれたのだった。――兵はブルンと慄えた。恐ろしいからではない。待ちに待った敵機をついにとらえたからだ。なんとも奇怪なS国超重爆撃機の形!
ドドドドーン。
ダダダダーン。グワーン、グワーン。
照準手が合図を送ると、砲手が一イ二ウ三イと数えて満身の力をこめて引金を引いたのだった。
ズズーン。
グワーン、バラバラバラバラ。
天空高く、一千メートルとおぼしき高度のところに、ピカピカピカピカと、砲弾が炸裂して、まるで花火のようだ。
だが敵機は、照空灯を全身に浴びたまま、ゆうゆうと砲弾の間を飛んでいる。
「ウヌ、ちょこ才な……」
高射砲にはすぐに新しい七十ミリの砲弾がつめかえられ、砲手はすばやく引金を引いた。砲弾は、ポンポンと矢つぎばやに高空で炸裂する。しかし敵機は憎らしいほど落ちついている。――そればかりか、機体の腹のところについていた縞が崩れて、なにか白いものがスーッと落ちてきた。