轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
くうしゅうけいほう
空襲警報
海野 十三
「少年倶楽部」別冊付録、大日本雄弁会講談社、1936(昭和11)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,838 字 · 92 页
そして、ほっとした色と一緒に元気が浮かびあがってきた。防毒面をとりもせず、座席の片隅に小さくなっていた旗男少年も、落ちつきと元気を取り戻した一人だった。そして、将棋さし二人男のほうをつくづくみていたが、急に飛びあがった。
「ああ、鍛冶屋のおじさんだ、兼吉君のお父さんだッ」
それは旗男の東京の家の崖下に、小さな工場を持っている鍛冶屋の大将鉄造さんだった。
旗男は「おじさんおじさん」と叫ぶと、いきなり、鉄造のガッチリした胸にとびついた。
「うわーッ」
と、さすがに後備軍曹の肩書を持つ鍛冶屋の大将も、不意うちに、防毒面をかぶった変な生物にとびつかれ胆をつぶした。膝の上にのっていた将棋盤も、ポーンと宙にはねあがった。いまや王手飛車とりの角を盤面に打ちこもうとしたエビス顔の辻村氏の頭の上に、将棋の駒がバラバラと降ってきた。おどろくまいことか、彼氏の金切声――。
「うわーッ、爆弾にやられたッ……」
毒瓦斯地帯
旗男は、思いがけなく親友のお父さんに会って、それこそ地獄で仏さまに会った思だった。鉄造は横に座席をあけてくれた。
「どうも、歩が一枚足りない……」
辻村氏は、腰掛の下にはいこんで、なくなった駒をさがしまわっていた。