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くうしゅうけいほう
空襲警報
海野 十三
「少年倶楽部」別冊付録、大日本雄弁会講談社、1936(昭和11)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,838 字 · 92 页
ことだ。お天気の続くことが分かったら、いつやって来るか知れない」
「いやだなあ! お天気はもう三日も続いているのですよ。するとこれは危いのかな。ちっともそんな気はしないのだけれど……」
旗男はクルリと寝泳に移って沖をふりかえっていた。すると今も夕日は朱盆のように大きく膨れた顔を、水平線の上に浸そうというところだった。それはいつに変らぬ平和な入日だった。旗男には義兄がわざと彼をおどかすためにいっているように思えてしようがなかった。
――義兄さんは高射砲隊長だから、きっとS国が空襲してくる夢ばかりみているのだろう。――
と、旗男は腹のなかで、義兄を気の毒に思ったのだった。――背の立つところまで来たらしく、先頭の義兄はヌックと立ちあがると、波を蹴ちらしながら汀の方へ歩きだした。
怪しい男
「まあ、おそいのねェ……」
汀のところで、女の声がした。姉の露子が一誕生を迎えたばかりの正彦坊やを抱いて迎えに来ていた。義兄はそれを見ると、とびついていった。
「ああ、正坊。お父ちゃまと、チビ叔父ちゃまのお迎えかい。おお、よく来たね。オロオロオロオロ、ばァ」
旗男も続いて砂地にあがると、照れかくしに正坊のところへ行って、