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くうしゅうけいほう
空襲警報
海野 十三
「少年倶楽部」別冊付録、大日本雄弁会講談社、1936(昭和11)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,838 字 · 92 页
破壊されたものは高射砲一門、聴音機一台であります。他に照空灯、聴音機等若干の損害を受けましたが、爾後の戦闘には、支障なき程度でございます」
「軍隊以外の死傷は」
「死者約七十名、重傷者約二百名、生死不明者約千名であります。この原因はおもに混乱によるもので、大部分は避難中、度を失った群衆のようであります」
「ウン、恐るべきは爆弾でもなく毒瓦斯でもない。最も恐ろしいのは、かるがるしく流言蜚語(根のないうわさ)を信じ、あわてふためいて騒ぎまわることだ。国民はもっと冷静にして落ちつくべきである」
「はッ、閣下の仰せの通りであります。……圧しつぶされて死んだ者についで、死者の多かったのは毒瓦斯にやられた者で、約二十名。これはふだんから、毒瓦斯とはどんなものか、どうすれば防ぐことができるかをよく心得ておかなかったためだと存じます……」
そのとき、通信係の曹長が、いそぎ足で部屋に入ってきた。
「お話中でございますが、司令官閣下、只今、T三号の受信機に至急呼出信号を感じました。秘密第十区からの司令官宛の秘密電話であります」
警報出づ
その日の午後四時、真夏の太陽はギラギラと輝いていたが、帝都には突如として警戒警報が発令された。