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くうしゅうけいほう
空襲警報
海野 十三
「少年倶楽部」別冊付録、大日本雄弁会講談社、1936(昭和11)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,838 字 · 92 页
「ワ、わかった、鉄さん。お、おれが悪かった」
清さんは、膝で歩きながら、鍛冶屋の大将にすがりついた。
「鉄さん、おれたちは日本人たることを忘れていた。……どんな爆弾が降って来ようと、自分の家を守る。この町を守る……どうか勘弁してくれ」
「そうれみろ。貴様だってわかるんじゃないか。わかれば何もいわない。……警報班長なんて委せておけないと思ったが、もう大丈夫だろうな」
「ウン、大丈夫! ウンと活動するぞ、おれは外で働き、家の方は女房を防護主任にしてやらせる」
「鉄さんのおかげで、わが防護団は俄然強くなった。さあ、二人で握手しろ」
分団長は、二人の手をとってにぎらせた。
「あッはッはッ」
「大いにやるッ。ハッハッハッハッ」
日没とともに、警報班の灯火管制係の活動は、目に見えて活発になってきた。なかでも鍛冶屋の大将の息子で、いつも少年ながら父親の向鎚をうっている兼吉は、親ゆずりの忠君愛国の精神にもえ、少年団の先頭にたって、西へ東へと、教えられた通り、定められた街灯を消してまわっていた。少年たちは五人一組となっていたが、持ちものは、長い梯子が一つと、高いところに届く竿が二本――それは、先のところが三つまたに割れ、その先を繃帯でグルグル巻いてあった。