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くうしゅうけいほう

空襲警報

海野 十三

「少年倶楽部」別冊付録、大日本雄弁会講談社、1936(昭和11)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,838 字 · 92 页

青空文庫

「そんな乱暴なことをいうやつがあるか。電灯の笠には、チャンと被がしてあるし、窓には戸もしめてあるよ。外から見えないからいいじゃないか」

「だって、皆が消しているのに、おじさんところだけつけておくのはいけないよ。敵の飛行機にしらせるようなものじゃないか。おじさんは非国民だよ」

「なに非国民! これは聞きずてにならぬ。子供だからと思って我慢していたが、非国民とはなんだ。おれはこんなに貧乏して、ゴム靴の修繕をやり、女房は女房で軍手の賃仕事をしているが、これでも立派に日本国民だッ。まじめに働いているのがなぜ悪いんだ。仕事をするためには、下にあかりを出さなきゃできやしないぞ」

「だって、空襲警報の出ている少しの間だけ消せばいいのじゃないか。それをやらないから、非国民に違いないや。オイ皆、いくらいっても駄目だから、電球をとってしまおうよ」

ワーイという少年の声、家の中からキャーッとあがる悲鳴、靴屋のおじさんは棒をもって少年の方に打ちかかってきた。

「コラ、待て、この非常時に、喧嘩するのは誰だッ」

バラバラと近づく足音――格闘の中に飛びこんできたのは鍛冶屋の大将だった。