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くうしゅうけいほう

空襲警報

海野 十三

「少年倶楽部」別冊付録、大日本雄弁会講談社、1936(昭和11)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,838 字 · 92 页

青空文庫

「ラジオはどうしたッ」

鍛冶屋の大将がどなった。少年団の一人が天幕の中へかけこんだ。……が、すぐ真青になって、天幕からとびだしてきた。

「班長、駄目です!」

「駄目? なにが駄目だッ」

団員はハッとして、少年の方を見た。

「……ラジオが鳴らないんです」

「鳴らない! 壊れたのかな」

「班長!」

と旗男がいった。

「これは、きっと送電線が爆弾にやられて、ラジオが駄目になったのですよ」

「ラジオが駄目になったとは困った」

といって天幕の中に入っていったが、気がついて電話をかけてみた。大将の顔が、また暗くなった。

「どうしたの」

「いや、電話も駄目だ。電線はみなやられたらしい……さあ大変、これじゃ大事な耳も眼も利かなくなったも同然だ」

「するとサイレンも鳴らないんだな」

「これはいかん……」

団員一同は、離小島に残されたような心細さを感じた。

そのとき一台の自動車がやって来て、中から見なれない背広服の男がおりて来た。そして天幕の方へツカツカと寄ってくるなり、

「……皆さん、大変ですよ。いま暴動が起っている。下谷、浅草、本所、深川、城東、向島、江戸川などの方から数万の暴徒が隊を組んでやって来る。