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くうしゅうけいほう

空襲警報

海野 十三

「少年倶楽部」別冊付録、大日本雄弁会講談社、1936(昭和11)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,838 字 · 92 页

青空文庫

――彼は、たちさわぐ団員のところを少し離れて、肩にかけた受信機を開き、受話器を耳にあてて、ダイヤルを廻した。とたんに旗男の顔が林檎のように輝いた。

「おお、放送をやっている。うん聞えるぞ!」

旗男は地獄で仏に会うの思だった。前もって電池式受信機を作っておいてよかった。非常時には、ぜひともこれがいる! 受話器から出てくる声は小さいが、まぎれもなく、なじみ深い中内アナウンサーの声……。

「……以上申し上げましたようなわけで、S国空軍の三機もわが勇猛果敢なる防空飛行隊、高射砲隊によってついにとどめを刺されました。太平洋に逃げたものは、なお追撃中でございますが、これはもう燃料もあまりありませんので、その最期のほどは知れております。とにかく今回の大空襲で、帝都の被害が案外すくなかったのは、平素からの防空訓練の賜であることは明かであります。東京は只今、二、三火災の所はありますが、一体に静穏であります。防護団にあると家庭にあるとを問わず、この防空第一線を死守されました皆様に、衷心から敬意を表して放送を終ります。JOAK」

「あッ!」

旗男はあまりの嬉しさに、しばらくは口もきけなかった。