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まどからのふうけい(ろくがつ――)
窓からの風景(六月――)
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 902 字 · 2 页
○どういうわけか そこの雨戸の一番下の棧のところに特別ひどく泥がたまっていた。
そこを念を入れてふいた。
○そこの手すりは北向なので冬じゅうひどい風や雪にいためつけられていた。何年もそういう風なまま放っておかれた。そこを○子は拭き その上につやふきんをかけ そして 腰をおろして 変っていく隣家の庭の様子を見下すのであった。
雨の日の正午
となりの工事場が全くひっそりして。
雀の声、チュ チュ 雨はやんでいる
正午のサイレンがなったと思うと
珍しく どこかで寺の鐘の音が二つした
すると 大観音の方で 一つ……もう一つ。
不思議な音の錯綜
毎日 鐘はついていたのかしら?
曇天の新緑の幾重にも深い
色の変化ある繁みを眺めていると細かい雨が
空から降って来るより先
その繁みの間から霧のように
ふいて来そうに感じられた。
それ程 空気は重くて
しめっぽかった。