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まどにさすかげ
窓にさす影
豊島 与志雄
「小説公園」1952(昭和27)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,068 字 · 26 页
ディズニーの総天然色長篇映画が来てるんだ。美佐ちゃん、一緒に行こう。」
私は眉をしかめ口を尖らしてやった。ひとの室に侵入してきて、酒を飲んで、ひとをからかって……。そう言ってやりたかったが、止めた。私はまたビールを飲んだ。
襖が開いて、母が顔を出した。
「こんなところにいたんですか。皆さんがあなたたちを探していらっしゃるから、あちらへいらっしゃいよ。」
兄は首をすくめてみせた。
「僕はどうも、坊主がきらいでしてね。」
「何ということを言うんです。それに、和尚さんはもうお帰りになりましたよ。」
「へえー、いやに気を利かしたもんだな。そんなら、行ってやろうか。」
兄と利光さんは立ち上って、出て行った。私はそこに暫くじっとしていたが、気持ちが落着かなかった。ビールを飲んだ。立ち上ると、へんに体がふらふらしていた。
私は女中を呼んできて、料理から食卓まですっかり片附けさした。それから、箒や塵払を持って来て、室の掃除をした。こんな時に、という気がしたが、構うものかと思った。でも、少し慌てていたらしい。地袋棚の上の人形を一つ、転がし落してしまった。一対になってる博多人形で、片手で着物の褄を取り、片手で毬を抱えていた。