轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
たてふだ
立札
豊島 与志雄
――近代伝説――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,218 字 · 21 页
町の人たちは皆、家屋の奥に逃げこみ、閉じ籠っていましたが、多数の逞ましい苦力たちが、宛も友人をでも迎えるような調子で、にこにこした態度で町中をうろついていましたので、これには匪賊の方で勝手が違って、急に和らいだ気勢になってしまいました。朱文と賊の首領との間に、何か連絡があったのだとも、一説では伝えられています。
そうして、匪賊たちは苦力たちに話しかけ、苦力たちの方でも匪賊たちに話しかけました。
そして河岸の広場に、互にまじり合って集り、火が焚かれ、豚や鶏が灸られ、酒甕の口が開かれ、賑かな夜宴が、寒夜野天の下で始まりました。苦力たちがみな、腕に小さな青布をつけているのが、何か底気味悪い感じを匪賊たちに与えたようでもありました。彼等はいわるるままに導かれて、町家には殆んど乱暴をせずに終りました。夜遅く、その夜宴を垣間見に、起き出してきた町人さえありました。
とはいえ、この事件は、町にとっては何よりも大きな衝撃だったのであります。町中がその一夜、眠りもせず戸を閉めきって、息をひそめていました。
そしてまだ未明の頃、河の面がほんのりと白んできますと、匪賊たちを満載した数隻の荷船が、苦力たちに漕がれて、揚子江を対岸の荒蕪地へと渡りました。