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かぜのまたさぶろう
童話集 風の又三郎
宮沢賢治『童話集 風の又三郎』。同一底本的分册已合并为一书。收入:風の又三郎、グスコーブドリの伝記。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,657 字 · 113 页
悦治がそれをくぐろうとしますと、嘉助が、
「おらこったなものはずせだぞ。」と言いながら片っぽうのはじをぬいて下におろしましたのでみんなはそれをはね越えて中にはいりました。
向こうの少し小高いところにてかてか光る茶いろの馬が七匹ばかり集まって、しっぽをゆるやかにばしゃばしゃふっているのです。
「この馬みんな千円以上するづもな。来年がらみんな競馬さも出はるのだづぢゃい。」一郎はそばへ行きながら言いました。
馬はみんないままでさびしくってしようなかったというように一郎たちのほうへ寄ってきました。そして鼻づらをずうっとのばして何かほしそうにするのです。
「ははあ、塩をけろづのだな。」みんなは言いながら手を出して馬になめさせたりしましたが、三郎だけは馬になれていないらしく気味わるそうに手をポケットへ入れてしまいました。
「わあ、又三郎馬おっかながるぢゃい。」と悦治が言いました。すると三郎は、
「こわくなんかないやい。」と言いながらすぐポケットの手を馬の鼻づらへのばしましたが、馬が首をのばして舌をべろりと出すと、さっと顔いろを変えてすばやくまた手をポケットへ入れてしまいました。