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たけうまのたろう

竹馬の太郎

小川 未明

「童話」1924(大正13)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,778 字 · 4 页

青空文庫

太郎のお父さんも困ってしまって、ある晩のこと、こらしめのために、雨戸を閉めて、太郎を家に入れませんでした。

その晩は、寒い、月のいい晩でありました。太郎は、しくしくと戸の外で泣いていましたが、そのうち竹馬に乗って、あちらの月の照らす明るい野原の方へ歩いてゆきました。

「太郎、どこへゆく。」と、空で、いったものがあります。仰ぐと、円い顔のお月さまが、じっと見ていられました。

「お月さま、僕は、さびしいから、あなたのそばへゆきたいものです。」と、太郎は、目に涙をためていいました。

すると、たちまち、空のかなたから、大きな、黒いとびのような鳥が飛んできました。そして、太郎をさらって、どこへとなく去ってしまいました。

太郎のお父さんは、太郎が、どうしているだろうと思って、夜中に、戸を開けてみました。けれど、太郎は、どこにもいませんでした。あくる日になって、村じゅうが、太郎は、どこへいったろうかと探すのに大騒ぎをしました。

野原の中に、太郎の乗っていた、竹馬が見つかったときに、太郎は、おおかみにでも食われてしまったのだろうといって、太郎のお父さんや、お母さんが悲しんで泣いたばかりでなく、村じゅうのものが、かわいそうに思いました。