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わらいについて
笑について
岸田 国士
「人生読本3」春陽堂書店、1954(昭和29)年6月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,526 字 · 13 页
「げらげら」「きやツきやツ」など、これはいずれも、「擬音」であります。ざつと、こんなところかと思います。
話を前に戻して、人間はなぜ笑うかという問題にかえりますが、普通おかしいからにきまつております。それに違いありませんけれども、心理学では、これを逆に、笑うというのは顔面神経の硬直によつて筋肉が痙攣を起すからだ。つまりおかしいから笑うのではなく笑うからおかしいのだという説明が成立つらしいのです。こうなると問題がちよつとややこしくなります。もつと常識的に考えると、人間はなぜ笑うかと言えば、無論、おかしいからと言えるでしよう。併し偶に恥しいからという場合もあります。それからくすぐつたいから、これも一つの理由でしよう。我々日本人は照れくさいから笑う。この笑いは一番曲者でありまして、日本人独特の薄笑い、外国人に言わせると「不可解な微笑」であります。尤も私の考えでは例の豪傑笑いなどというのは一種の照れ隠しで、世界の何処を探してもない笑いだと思います。極く普通の意味の笑いは、おかしさ、即ち滑稽に通ずる笑いでありますが、この笑いこそ人生を楽しく明るくし、又社会はこれあるがために緊張を弛め、険しさがほぐれるのであります。