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わらいについて
笑について
岸田 国士
「人生読本3」春陽堂書店、1954(昭和29)年6月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,526 字 · 13 页
自分の方が絶対えらいと信ずるか、或いは信じたいときであります。他人の滑稽な姿の中に自分自身の姿を発見したとき、我々はどうしますか。これは複雑な気持です。実際こんなときに込上げて来る笑いほど尊い笑いはないと私は信じます。この笑いきれぬ笑いを笑い得るものこそ、本当の強い、正しい、人間ではないかと考えます。優れた喜劇はいつでも人間が人間自身を笑うものであります。
そこで、人を笑わせるということは一体どういうことか。これには普通それ相応の才能と技術が要ると考えられております。いずれにしろその目的は次の三つに尽きると私は思います。
第一は、純粋に人を楽しませる目的、即ち、社交的な精神がそれを生み出します。
第二は、人を楽しませることは同じですけれども職業的な必要から人を楽しませて、そして自分が何か利益を得ようとする。そういう職業的な必要から出て来たもの。
第三は、芸術的な要求であります。この第三の場合こそ我々が喜劇精神と呼ぶものであります。
笑いは前にも申し上げましたように極く軽い意味での優越感の表示です。そこで笑うものは幾分自分のこの優越感というものをそこに意識したことになりますが、併し、それとは全く違つた意味で、この劣等感のカムフラージュ、自分の劣等意識をかくすために笑うことがあるということを先程ちよつと申し上げ