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こうもうけいせい
紅毛傾城
小栗 虫太郎
「新青年」1935(昭和10)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,403 字 · 50 页
見ると、彼女はハッとなって胸を抱きしめた。そこには、土人たちに取り巻かれて、昨夜運命を、船と共に決したとばかり思われたグレプニツキーが、無残な俘虜姿をさらしているのだ。
首には、流木の刺股をくくりつけられ、頭はまた妙な格好で、高く天竺玉に結び上げられている。そしてこの黄色い顔に、洞のような眼をした陰気な老人は、突かれては転びながら、次第に岩城さして近づいてくるのである。
けれども、それから始まった、横蔵の火の出るような尋問も、ついに効果はなかった。
やはり彼も、フローラと同じことを言うのみで、黄金郷の所在は、依然迷霧の中に閉ざされているのであった。それから、グレプニツキーは、土人小屋に収容されたが、賢しい紅琴は、早くもただならない、二人の気配を悟ることができた。
「そもじ二人は、小さいながら、このラショワ島が一国であるのを忘れたとみえますのう。総じて貴人というものは、上淫を嗜むのです。そなた二人は、虹とだに雲の上にかける思いと――いう、恋歌を御存じか。そのとおり、王侯の妃さえも、犯したいと思うのが性情なのじゃ。そのゆえ、遊女には上風の粧いをさせて、太夫様、此君様などともいい、客よりも上座にすえるのです。