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こうもうけいせい

紅毛傾城

小栗 虫太郎

「新青年」1935(昭和10)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,403 字 · 50 页

青空文庫

しかし、息をあえいで太腿を改め、凍りついた、腐肉の上に瞳を凝らすと、やはりそこにはグレプニツキーの言うがごとく、EL DORADO RA という文字がしたためてあるのだ。

ああ、ついにそうであったか、しかし、もう再びラショワ島に帰ることは――と紅琴は、しばらく黙然としていたが、そうしているうちに、一つ二つと笄が、音もなく抜け落ちたかと思うと、両手に抱えたフローラの体に、次第に重みが加わっていく。

彼女は、すでに渾身の精力を使い尽くし、静かに、いまや氷原の真っただ中で、眠りゆこうとするのだ。

紅琴は驚いて、自分の胸を開き、暖めようとしたが、フローラは微笑んで、じっと紅琴の手を握りしめるのみであった。明らかにそれは、フローラにとって、もっとも不幸な瞬間が近づいたのを、紅琴に思わせた。

彼女は、胸に顔に、熱い息を吐きかけて、狂ったように叫びはじめた。

「これ、気を引きとめて、フローラ、もうしばしがほどじゃ。まだ、見えるであろうな聞こえるであろうな、そのいじらしさに、私は胸のつぶれる思いがしまする。私は、いまここで、黄金郷の所在を、突き止めることができたのですよ。