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かみのこうずい
紙の洪水
中谷 宇吉郎
「図書」1952(昭和27)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,079 字 · 3 页
それから買物に行くと、どんな小さいものでも、馬鹿げた大きい紙袋に入れてくれる。少し目方のかかるものは、いやに丈夫な大きい紙袋で、太い紐でぶらさげられるようになっているものに入れてくれる。葡萄酒の罎を六本入れて下げてもよい紙袋だから、その丈夫さの程度は、想像されるであろう。
この頃は、夏休みのシーズンであるから、ドラッグストアや十セント店には、ピクニック用のものが、たくさん出ている。ほとんど全部紙製の食器である。「なぜ汝は皿を洗うか」というようなスローガンが書いてある。
牛乳は、この頃日本へも来ているような、カートン入りのものが、大部分である。いずれも人手よりは紙が安いから、大いに紙を浪費しているわけである。荷造りの箱も、御承知の如く、特別に重い場合を除いては、ほとんど全部紙函である。もっともこの方は木箱にするよりも、ずっと木材の消費節約になるので、日本も早くこの紙函工業を起こした方がよい。
アメリカのこの紙の洪水が、どう始末されているか、一寸聞けばすぐわかる問題であるが、まだその暇がない。多分再製されているのであろうが、無駄になる部分が、相当多いことであろうと想像される。