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けっこんろんのせいかく

結婚論の性格

宮本 百合子

不詳

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,019 字 · 16 页

青空文庫

真の優生結婚は、肉体の条件の優秀さとともに精神の愛のゆたかさ、つよさ、活溌さにおいてもひいでたものでなければならないと思う。健全な結婚ということの実際は、十人の子供を持ったという結果からだけではなくて、その子供たちの父と母とが終生人間としての向上心を失わず、父は旧来の男の習俗におちず妻に対して誠実であるということからも見られて行かなければならないだろう。

それだのに、何故今日の結婚論が、早婚の必要と優生知識を説くにせわしくて、結婚を真に生活たらしめてゆく肝心の理解や愛の問題をとばして行っているのだろう。そこのところが、何か今日の結婚論にうるおいのたりない、人間の優しさや深味の少い淋しさを与えているのだと思う。

現代の考えぶかい人たちは、十九世紀のロマンティストのように結婚は恋愛の墓場であるという風なものの見かたはしていないのが現実だと思う。

恋愛の感情にしろ、天を馳ける金色雲のようには見ていないと思う。もっと、私たち人間が自然に生きてゆく毎日の感情のなかにある一つのものとして、互の理解に根ざした生活的なものとして感じていると思う。まじめなつつましい心のすべての若い人々は、架空の恋愛を求める気はなくても、互にわかりあえるあいてというものを見出して結婚したいという切実な願いはいだいていると思う。