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ぜったいむじゅんてきじこどういつ

絶対矛盾的自己同一

西田 幾多郎

「思想 第202号」1939(昭和14)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 50,000 字 · 99 页

青空文庫

生物現象というも、何処までも化学的物理的現象に還元して考えることができるであろう。しかしその故に生物現象を単に物質の偶然的結合というのならばとにかく、いやしくもそれ自身に実在性を認めるならば、それは形成作用的と考えられねばならない。生物の有つ形というのは、機能的でなければならない。形と機能とは、生物において不可分離的である。形というのは、唯、眼にて見る形の如きものをいっているのではない。生物の本能という如きものも、形成作用である。文化的社会という如きも、形を有ったものでなければならない。形とはパラデーグマである。我々は種の形によって働くのである。而してそれは行為的直観的に見ることによって働き、働くことによって見るということでなければならない。作られたものから作るものへということでなければならない。

右の如く作られたものから作るものへと無限に動き行く絶対矛盾的自己同一の世界は、形から形へとして何処までも形成作用的である、即ち主体的である。これに無限なる環境が対立する。而して主体が環境を、環境が主体を形成すると考えられる。しかし絶対矛盾的自己同一の世界において環境というのは単に質料的なものではない、形相を否定するものでなければならない。