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ぜったいむじゅんてきじこどういつ

絶対矛盾的自己同一

西田 幾多郎

「思想 第202号」1939(昭和14)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 50,000 字 · 99 页

青空文庫

多と一との矛盾的自己同一的形成作用として、国家はそれ自身が自己矛盾的存在である。故に国家存在理由には、いつも矛盾が含まれている。しかしそこに国家の存在理由があるのでなければならない。歴史的世界に実在するものは、すべて自己矛盾的でなければならない。而して文化はかかる実在の自己形成から成立するのである。現在の十字架において薔薇を認めることでなければならない、然らざれば真の文化ではない。芸術という如きものも、矛盾的自己同一的な社会の自己形成作用として生れるのである。かかる意味において、私は芸術が社会の儀式から生れるという考に興味を有するのである(Jane Harrison, Ancient Art and Ritual)。而してそれは何処まで進んでも、かかる立場が失われないであろう。芸術も具体的論理的という所以である。しかし矛盾的自己同一的形成が深くなればなるほど、行為的直観の現実を中心として種々なる文化が相異なる方向に分化発展するのである。

絶対矛盾的自己同一の世界は、作られたものから作るものへとの自己形成の過程において、イデヤ的である、直観的なるものを含むといった。