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しばられたあひる

縛られたあひる

小川 未明

「児童文学」1936(昭和11)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,532 字 · 9 页

青空文庫

もし木立は、その煙が、自分たちの屍を焚く煙であったと知ったら、どんなに驚いたことでしょう。やがて、夕日が沈んで暗くなると、燈火がちらちらと閃きはじめました。ところが、その群がった火の中から、飛び出したように、ぽつ、ぽつと、町をはなれて、幾つかずつ火が寂しい野原の一方に散っていくのでした。ある夜のこと、すぐ近くにみずみずしい冴えた魔物の目のような燈火がついたのです。これを見た、一本の木は、

「おや、あすこへも、やってきたぞ!」といいました。

「なるほど、いつここへくるかもしれない。」と、他の一本の木は、不安そうに、答えました。

三本の木は、その夜、北風に声を合わせて、いつになく悲しい唄をうたったのであります。

明くる日、朝日の影が、下の流れの上に射したとき、小さな魚たちは、もうじき春がくるのを喜ぶように、銀色の腹を見せながら水の中で踊ったのでした。そして、のねずみは、穴の入り口で、目をこすりながら、

「昨夜は、ぶなの木さんが、悲しい歌をうたっていたが、人間どもがこのあたりをうろついて、木を切る話でもしたのかな。いやこのごろの世間の不安ってありゃしない。いつこの川辺のおれたちの巣も掘り返されてしまうかわかったものでない。