轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

おだのぶなが

織田信長

坂口 安吾

「季刊作品 第一号」創芸社、1948(昭和23)年8月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,950 字 · 36 页

青空文庫

道三は二十町ほど見送ったが、信長方の槍が自分方より長いのに興をさました様子で、信長と別れてからはウンともスンとも言わなかった。

黙々と歩いて、アカナヘという地名の処へきたとき、猪子兵介が道三に向って、

「どうですか。やっぱり、あいつ、バカでしょうが」

と言うと、

「さればさ。無念残念のことながら、今にオレの子供のバカどもが、信長の馬のクツワをとるようになるにきまっていやがる」

と道三は答えた。彼の仏頂ヅラは当分とけそうもなかったのである。

彼はトコトンまで信長に飜弄されたことを知った。自分の方が飜弄するつもりでいただけ、その後味はひどかった。道三は信長の人物を素直に見ぬくことができたが、信長の家来どもは素直ではなかったから、彼らには、やっぱり主人が分らなかったのだ。

彼らは信長の殿様然たる風姿をはじめて見て、さては敵をあざむくための狂態であったかなどと考えて、然し、それで、主人の全部をわりきることも出来なかった。

敵をあざむくためなどゝ、信長はそんなことは凡そ考えていなかった。彼は人をくっていた。人を人とも思わなかった。世間の思惑、世間ていは、問題とするところでない。