轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

うつくしいむら

美しい村

堀 辰雄

序曲「大阪朝日新聞」(「山からの手紙」の表題で。)1933(昭和8)年6月25日、美しい村「改造」1933(昭和8)年10月号、夏「文藝春秋」1933(昭和8)年10月号、暗い道「週刊朝日 第25巻第13号」1934(昭和9)年3月18日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,946 字 · 84 页

青空文庫

私は子供たちの真似をしてそれを一つずつこわごわ口に入れてみた。なんだか酸っぱかった。私はしかしそれをみんな我慢をして嚥み込んだ。そうして子供たちが低い枝にあった実をすっかり食べつくしてしまうと、今度は高くて容易に手の届きそうもない枝をしきりに手ぐろうとしては失敗しているのを、私は根気よく、むしろ面白いものでも見ているように見入っていた。

子供たちはまた林の中のいろいろな抜け道を私に教えてくれようとした。そうして急な草深い斜面をずんずん駈け下りて行った。私はそのあとから危かしそうな足つきでついて行った。ほとんど何処からも日の射し込んで来ないくらい、木立が密生して枝と枝との入りまじっているところもあった。かと思うと急に私たちの目の前が展けて、ちょっとの間何も見えなくなるくらい明るい林のなかの空地があったりした。私たちがそういう林の中の空地の一つへ辿り着いた時、突然、一つの小石が何処からともなく飛んで来て私たちの足許に落ちた。その飛んで来たらしい方を私たちがまぶしそうに振り向いた途端、数本の山毛欅を背にしながら、ほとんど垂直なほど急な勾配の藁屋根をもった、窓もなんにもないような異様な小屋の蔭へ、小さな黒い人影が隠れるのを私たちは認めた。