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はごろもものがたり

羽衣物語

小川 未明

「コクミン一年生」1946(昭和21)年2、3月、「コクミン二年生」1946(昭和21)年4月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 6,149 字 · 12 页

青空文庫

「天女さま、私が悪いのでございます。わがままをいって、あなたを苦しめて申しわけがありません。どうぞ、お許しくださいまし。」と、頭をひくくたれました。

すると、天女は、頭を上げて、

「人間は人間のつとめをはたして、とうといのであります。もし、だれでもその道をあやまるなら、どんな不幸が起こらぬともかぎりません。それゆえ、早く私を空へ返してください。」と、目に涙を浮かべていいました。

若者は、天女のどこまでもやさしく、正しいのに感心しました。そして、自分が悪かったのをさとると、こうして立っているのさえ、なんとなく気恥ずかしくなったのです。

「あなたは、天にいらして、なにをなさっていられますか。」と、若者は聞きました。

「私は、神さまにお仕えしています。雲の上にて、五色の機を織ります。また、神さまのお使いで、ときどき、星の世界から星の世界へと、飛びまわることもあります。」と、天女は答えました。

若者は、ていねいに羽衣を天女の前へさし出しながら、

「どうぞ、これをお受け取りくださいまし。ついては、こんなお願いをするのも、まことにあつかましい話ですが、せっかくのお名残に、せめていつまでも、美しい、正しいあなたに、お目にかかった思い出となるような、なにかおしるしをいただきたいのですが、かなわぬ願いでございましょうか。