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せいにょにんぞう
聖女人像
豊島 与志雄
「群像」1947(昭和22)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,549 字 · 28 页
、第4水準2-83-17)を許さないものであり、私の独自性の根源なのだ。僅かな空間ではあるが、上下には無限に高く無限に深い。――それに私はいつとなく突き当ったのだ。私が自分を病気ではないかと思うのも、別所のことからの類推かも知れない。
私はまた夢をみた。――満々たる水面に、大きな渦が巻いている。渦は急激で、中心は深い穴となって吸いこんでいる。二筋の藁屑と一枚の木の葉とが、ゆるやかに旋回しながら中心に近寄ってゆき、やがて急に吸いこまれてしまった。あとには何もなく、ただ中心の深い穴だけだ。それが多少大きさを変えながら、音を立てて、無限の底へと巻きこんでいる。ただそれだけだ。
それが、眼を開いても、眼底に残っている。見ようと思えば、すぐに現前してくる。
その渦は、私の孤独の寂寥さだ。絶え難い寂寥だが、何物にも代え難く貴い。それを乱す一切のものを、私は憎悪し忌避する。――久子ともし結婚すれば、久子はそれを乱すだろう。久子ばかりでない……。
私は今、空襲のために罹災して、大きな家屋の一翼に住んでいる。母屋の方には二家族がいる。その一つの西岡が、家の所有者の親戚で、全体を監理している。