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じゆう

自由

小川 未明

「童話文学」1929(昭和4)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,616 字 · 6 页

青空文庫

街の鳥屋の前を通ったとき、なんという鳥か知らないけれど、小鳥にしては大きい、ちょうど小さいはとのような形をした鳥が、かごの中にいれられて、きゅうくつそうに、じっとしていました。

黄色なくちばし、その鈍重なからだつき、そして、たえずものおじする、つぶらな黒い目を見ると、いじらしいという感じをさせられた。私は、この鳥をきらいでなかったのです。

「こんなに、狭いかごへいれられたのでは、身動きもできないだろう。」

自分の家には、これよりは、大きな空きかごのあることが頭に浮かびました。で、ついこの小鳥の価をきいてみる気になりました。

鳥屋のかみさんは、さっそく、店さきへ出てきたが、価は、あまり安くなかった。しかし、一度買おうと思った心は、すこしくらいのことで、また、やめる気にもなれなかったのです。それほど、私は、この鳥をほしくなりました。子供の時分、村はずれの林や、寺の墓地などへ、おとりの鳥かごをさげていって、ひわや、しじゅうからなどを捕らえたことを思い出すと、どこからともなく、すがすがしい土の香がして、木の間をくぐってくる冷ややかな風が、身にしみて、もう久しいこと忘れていた生活に、ふたたび魂がよみがえるように、急に、体じゅうがいきいきとしたのであります。