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ほどう
舗道
宮本 百合子
「婦人之友」1932(昭和7)年1~4月号(著者検挙のため未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,745 字 · 70 页
例の洗面所でその手紙をとりついだしづ子が、
「……これ……お金出してくれた人たちに一わたり見せなきゃいけないわねえ」
と柳に相談をもちかけた。
「そりゃそうね」
「こうしちゃどうでしょう」
わきかられい子が云った。
「私達がこんなことしているの、どうせ社内の人たちには知れているんだし、きっと沖本にだって分ってると思うわ。お金出してくれた人たちは、どっちみち大抵二十銭階級なんだからいっそおひるに食堂へはる子さんからの手紙を貼り出しちゃったらどうかしら――」
ミサ子は、緊張した期待で柳の返事をまった。これまで××○○会社の食堂にそんな社員から社員への呼びかけが貼られたことなんぞ一遍もなかったことだ。
「……どう思う? みんな」
れい子は熱心に、
「庶務の連中をだんだんこういうことに慣らして何も云わせないようにするにもって来いだと思うんだけれど……」
と云った。
「――どうかしら……」
しづ子が、はる子からの手紙を改めてひろげながら、
「でもね、これには一人一人お金出した人の名が並んでるのよ、はる子さんは律気だもんだから……」
「やっぱり、先のようにしてこれは廻しましょうよ」