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はなとひとのはなし

花と人の話

小川 未明

「少女の花」1923(大正12)年1月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,600 字 · 8 页

青空文庫

花は、あの花屋の店先を、どんなに恋しく思ったでしょう。

下宿屋の女中は、花などには無関心でした。すこしの考えもなくそうじなどをしましたから、赤いアネモネの花は、頭からほこりを浴びさせられました。

大学生は、はじめの二、三日は、花に気をとられながら、ながめたり、水をくれたりしましたが、その後は、忘れてしまったように、水もくれませんでしたから、土は湿り気がなくなって、花は枯れかかったのです。

ある朝、学生は、起きて、ふと花をながめました。

「元気がなくなったな。」と、学生は、独り言をしました。

ちょうどすこし前に、女中が朝飯のお湯を持ってきたののです。

学生は、乱暴にも、まだ冷えきらない、暖かなお湯を花にかけながら、

「だいじょうぶ枯れはしまい。水を取りにゆくのもめんどうだ。」

学生は、こういいました。

しかし、花はそのために、葉がしおれてしまいました。そして、じきに枯れてしまったのです。

甲の身の上、乙の身の上を思って、最後に残った丙のアネモネは、しばらくさびしい日を送っていました。

ある日、十二、三になった男の子が、二人連れでやってきました。

「これはなんという花だい。