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はなとしょうじょ

花と少女

小川 未明

「赤い鳥」1924(大正13)年5月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,667 字 · 8 页

青空文庫

寒い冬が、めぐってきましたけれど、ばらには、赤い小さな芽が出て、枯れるようすはなかったのです。そして、あくる年の春には、二本のばらとも、小さな枝をつけたのでありました。

「さち子や、二本のばらは、根がついたよ。もうだいじょうぶだから、大事にしておき、そして、肥料をすこしずつやるといい。今年は、だめだろうが、来年は花が咲くかもしれません。」と、お母さんはいわれました。

さち子は、大事にして、ばらの手入れをいたしました。ちょうど、三年めの春の終わりころに、一本のばらにだけ、一つつぼみがつきました。さち子は、どんなに喜んだかしれません。

「お母さん、つぼみが一つつきましたよ。」と、母に知らせました。

「赤いほうだろうか、白いほうだろうか……。」と、お母さんはいって、きてながめられました。さち子も、それは、どちらであったかよくわからなかったのです。

夏のはじめのころに、一本のばらに、真っ白な雪のような花が咲きました。その花は、さち子が、草花屋で、切り花を買ったときの花よりも大輪で、香気が高かったのであります。

その花が咲いた、ちょうど、そのころでありました。