轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はなさけるいし

花咲ける石

坂口 安吾

「週刊朝日別冊 第三号」1954(昭和29)年8月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,620 字 · 24 页

青空文庫

松平出雲は彼自身柳生流の使い手だったから、その家中には、武芸者が多かったし、また剣の苦手は何かということを彼自身よく心得ていた。彼は武蔵の相手として、棒の使い手を選んだのである。

棒、もしくは杖というものは甚だしく有利な武器なのである。これは実際にその術の妙を目にしないとその怖るべき性質が充分には呑みこめない性質のものであるが、棒はその両端がいずれも相手を倒す武器であり、いずれが前、いずれが後という区別がない。いずれからともなく現われて打ちかかり、一点を見つめていると逆の一点が思わぬところから襲いかかってくるのである。打つばかりでなく、突いてくる、払ってくる、次にどの方向からどこを目がけて飛びだしてくるか見当がつきかねるという難物で、これを相手とする者は敵が百本の手に百本の棒をふりまわしているような錯覚を感じる。武蔵も夢想権之助の棒には手を焼き、一般にこれを相打ちと称されているが、実際には武蔵が一生に一度の負けをとっている事実があるのだ。

庭前で試合をすることになり、武蔵が書院から降りようとすると、相手はすでに書院の下に控え、殿様の眼前だからやや伏目に頭を下げて坐っている。