轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はなこのちんじゅつ
花子の陳述
豊島 与志雄
「別冊文芸春秋」1952(昭和27)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,726 字 · 22 页
びっくりして行ってみますと、美津子さんが転げ落ちたらしい恰好で、階段の下に横たわって唸っていました。
わたくしは声をかけて手を出しましたが、美津子さんは頭を振って、わたくしを睨みつけるようにし、それから、あたりに散らかってる紙を拾い集めました。幾綴じにもなってるたくさんの紙で、例の生い立ちの記の原稿だとあとで分りました。
美津子さんはひどく酔っていて、半ば正体を失いかけてるようでした。これもあとで分ったことですが、その朝、焼酎を飲んで眠ろうとしたが眠られず、ふだん使ってるアドルムをのんだがだめで、また焼酎を飲んだりして、めちゃくちゃになってるのでした。却ってそのためだったのでしょうか、階段から転げ落ちてもわりに元気で、幾綴じもの分厚な原稿を拾い集め、それを抱えてよろよろと立ち上り、台所へ行き、そこから庭へ出て行きました。
美津子さんが黙っているので、なんだかわたくしは気味がわるく、やはり黙ってついて行きました。
美津子さんは原稿を引きちぎって、庭に積み重ねました。そうするうちにも何度か転び、しまいには地面に坐りこんでしまいました。そしてわたくしの方を物色するようにじっと眺め、初めて口を利きました。