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わかいむすめのりんり
若い娘の倫理
宮本 百合子
「婦人公論」1940(昭和15)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,181 字 · 18 页
あるひと月をきめて、その月に現れる婦人雑誌の口絵写真を眺め合わせただけでも、ひとくにち娘さんと云われる年ごろの若い女性の現実が、どんなに多種多様になって来ているか。一方の端と他の端とではその日その日が何とも云えない大きいちがいをもって殆ど別天地のような姿を見せている。一つの雑誌の写真には、美しい流行の服装をした令嬢が一匹数百円よりもっとしそうな堂々たる犬を左右において、広やかな庭前で写真にとられている。
他の雑誌では、機械工として働いている若い娘さんたちの姿、男がわりに田の植付けをしている娘さんたちの姿がうつし出されていて、両極端の現実に生きている娘さんたちは、互に心の底で何てちがう生活だろうと感じながら、しかし格別責任もない消費的なような目でそれぞれの生活を眺めあっているのだと思う。
それでいながら、やっぱり何か求めて生きているということでは共通で、時代の色もそこに濃くあつめられているのである。
お嬢さんという境遇にいる若いひとが、この頃は自分たちにつけられるそういう呼び名を嫌って来ていることも面白い。何かそこに安住していられないものがあって、もっと虚飾のない、むき出しの、だが愛らしくぴちぴちした娘という響を自分たちの若さの表徴とする好みになっている。