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もきちのいちめん

茂吉の一面

宇野 浩二

「図書」岩波書店、1957(昭和32)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,671 字 · 10 页

青空文庫

と云われる方が、機嫌がよい、と云われているが、茂吉のは、しいて皮肉な見方をすると、「元気がない」と云う方が都合がよい、と思っていたのではないか、と私には思われる。

ところで、初めの方で述べたように、私の手もとにある、昭和十五年の七月十一日の葉書は、全集の書簡篇には出ていないので、今、全集の書簡篇のなかの、昭和十五年の七月十一日あたりのところを開いて見ると、十一日のはなく、十日と十二日のが一通ずつ出ている。十日のは、名古屋市昭和通松月町六ノ一九の堀内通孝(たしか、アララギ派の歌人の一人)あての葉書で、その葉書には、「拝啓酷暑の候御清適大賀奉り候非常に上等品いただき御芳情大謝奉り候深く御礼申上候○御作中、あの御材料はよき歌と相成らず、三首のみ選び申候、何卒御一考願上候 Muttertrompete 云々も歌には入らざるべし○奥様御大切に願上候、頓首」という文句があるが、茂吉は、物をもらうと、実に喜んだ人で、それが、右の文句の中の「御芳情大謝奉り候深く御礼申上候」という言葉に出ている。又、○ジルシは、茂吉が、手紙や葉書の中に、文句の切れ目に使った印で、これは、茂吉独得のものである。