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もきちのいちめん
茂吉の一面
宇野 浩二
「図書」岩波書店、1957(昭和32)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,671 字 · 10 页
それから、「三首のみ」云々は、堀内が自分の短歌の選を茂吉にしてもらっていたのであろう。それから、七月十二日のは、絵葉書で、宛て名は、中支派遣軍園部部隊大杉部隊軍医少尉 平尾健一で、文句は「拝啓御勇健御奮戦大謝無限です。青山君との御写真飛び立つばかりうれしく拝見、老生このごろ涙もろく、涙が出ます。御歌も厳選にて困りますが御しんばう願ひます、銃後は決して御心配ありません国民も張り切つてゐますし、外交のへなへなも、このごろ大いに勇猛ですから御安神願ひます。御自愛いのり上げます。この夏は雨が尠くてどうかと心配してゐましたが、このごろ甘雨が降ります。皇国の大業の成る証です。それにつけても大兄等将士の御奮戦に対して感謝無限にていつも涙が出ます。」というのである。この頃は、――日中戦争が昭和十二年の七月七日に始まったのであるから、――日中戦争が始まってから、ちょうど満三年目であるから、大抵の日本人がそうであったように、いや、茂吉は、それ以上に、愛国心をふるいおこし、戦勝をひたすら祈っていたから、この葉書の文句の中にあるように、自分の弟子分の歌人であり、少壮の軍医たちの「勇健」