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ちゃのゆのてちょう

茶の湯の手帳

伊藤 左千夫

「馬醉木」1906(明治39)年1月、3月、10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,031 字 · 16 页

青空文庫

ことが出来ない、故に茶趣味あるものに体屈ということはない、極めて細微の事柄にも趣味の刺激を受くるのであるから、内心当に活動して居る、漫然昼寝するなどということは、茶趣味の人に断じてないのである、茶の湯を単に静閑なる趣味と思うなどは、殆ど茶趣味に盲目なる人のことである、されば茶人には閑という事がなく、理窟を考えたり書物を見たり、空想に耽ったりする様な事は殆どない、それであるから著述などの出来る訳がない、物知りなどには到底なれないのが、茶人の本来である、されば著書などあるものであったらそれは必ず商買茶人俗茶人の素人おどしと見て差支ない、原来趣味多き人には著述などないが当前であるかも知れぬ、芭蕉蕪村などあれだけの人でも殆ど著述がない、書物など書いた人は、如何にも物の解った様に、うまいことをいうて居るが、其実趣味に疎いが常である、学者に物の解った人のないのも同じ訳である、太宰春台などの馬鹿加減は殆どお話にならんでないか。